[使用キット]
ISOGEN(311-02501 / NIPPON GENE)100ml 28,000円

[原理]
Acid guanidium-Phenol-Chloroform法
RNAはDNAよりもリボースの2位の炭素に水酸基が1つ多くあるため、酸性下でフェノール処理するとDNAが有機相・中間相に行くのに対し、RNAは水相に分離される。

[方法]
★RNA抽出作業は手袋をしてRNase free spaceで行い、各試薬はRNA用に別に用意したものを使用する!!!

1. 培養細胞からのRNA抽出(10 cm dish culture)
↓ PBS wash
↓ PBSを除く
↓ ISOGEN (on iceにしておく)を1.5 ml 加え、dish全体にゆきわたらせる
↓ ピペットマンのチップの先で細胞をはがし、2 ml tubeに移す
↓ よくvortex
*1
↓ RT 5min.
↓ chloroform 320 ulを加える
↓ vortex 20 sec.
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 別の2 ml tubeにイソプロパノール 1 ml とEthachinmate 0.5 ul
*2 を分注しておき、
遠心で分離した上相(水相) 1 mlを移す
*3
↓ よく混ぜる(vortex or inversion)
*4
↓ on ice 10 min.
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 上清を除く
↓ 70% エタノール1 mlを加える
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 上清をしっかり除く
↓ 真空乾燥機に1 min. かける(正確に1 minで)
*5
↓ DEPC水に溶かす (on ice)
↓ -80℃にて保存

2. 組織からのRNA抽出(肝、腎、心臓など大きな組織)
↓ 組織を採取し、(手早く、かつ、他の組織が混入しないように)
アルミホイルに包み、液体窒素で凍らせる
↓ (-80℃にて保存)
↓ ISOGENを50 ml tubeに分注してon iceにしておく
*6
↓ 組織を液体窒素から取り出し、アルミホイルからすばやく取り出し、
ISOGENを分注してあるtubeに落とし、ホモジェネートする
*7
↓ よく粉砕されているか確認し、されていない場合はさらにホモジェネートする
↓ 上清 1.6 mlを2 ml tubeに移す
↓ chloroform 320 ulを加える
↓ vortex 20 sec.
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 別の2 ml tubeにイソプロパノール 1 mlを分注しておき、
遠心で分離した上相(水相) 1 mlをこのtubeに移す
*3
↓ よく混ぜる(vortex or inversion)
*4
↓ on ice 10 min.
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 上清を除く
↓ 70% エタノール1 mlを加える
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 上清をしっかり除く
↓ 真空乾燥機に1 min. かける(正確に1 minで)
*8
↓ DEPC水に溶かす (on ice)
*5
↓ -80℃にて保存

3. 組織からのRNA抽出(微量組織)
↓ 組織を採取し、(手早く、かつ、他の組織が混入しないように)
1.5 ml tubeに移し、しっかりふたをして液体窒素で凍らせる
*9
↓ (-80℃にて保存)
↓ ISOGENを200 ul を加える
*10
↓ tubeにあったサイズの棒で組織をつぶす
↓ vortex 強 2-3 min.
↓ chloroform 40 ulを加える
↓ vortex 2-3 min.
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 別の1.5 ml tubeにイソプロパノール 100ulとEthachinmate 0.5 ul
*2 を分注しておき、
遠心で分離した上相(水相)100 ulをこのtubeに移す
*3
↓ よく混ぜる(vortex or inversion)
*4
↓ on ice 10 min.
↓ 14000 rpm 4℃10 min. 遠心
↓ 上清を除く
↓ 70% エタノール100 ulを加える
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 上清をしっかり除く
↓ 真空乾燥機に1 min. かける(正確に1 minで)
*8
↓ DEPC水に溶かす (on ice)
*5
↓ -80℃にて保存


(*1)
この状態で -80℃にて保存可。

(*2) Ethachinmate (312-01791/ NIPPON GENE)
収量が少ないときに用いると効率が上がる。

(*3) 中間層が入らないように注意(DNAがコンタミする)。

(*4) この状態で-80℃で保存するのが安全。

(*5) 乾固すると非常に水に溶けにくくなるので注意。
 室温で放置し、風乾してもいい。

(*6) mouse腎臓片側(150~200 mg) → ISOGEN 2 ml=を参考に組織重量にあわせてISOGENを用意する。ただし、膵臓はRNase活性が非常に高いため、組織をかなり少なめに採取し、多めのISOGENを用いる(RNA量は多い)

(*7) 脳は脂質が多いためかなり泡立つので注意、
また、ホモジェナイザーの刃をアセトンで洗う必要がある。

(*8) 確実にRNase を除去するために再度ISOGEN処理を行うこともある

(*9) tubeにISOGENを分注しておき、そこに直接組織を入れ、浸透させてもよい。

(*10) mouse 卵巣×2の場合。各組織の大きさに合わせてスケールを変える。

4. 組織からのRNA抽出(肝、腎、心臓など大きな組織)
谷本版

ISOGENを2 ml使うのであれば、以下の取り方のほうが、経済的かつ、高純度(DNAのコンタミが少ない)で取れます。
肝臓(全体の1/10程度)、腎臓(片側1個)、心臓(1個)、脾臓(1個、aneamicの場合は1/4程度)を目安として下さい。脳は全体からRNAを取る場合には、泡立ちやすいため、最初のホモジェネートには3ml程度のISOGENが必要です。

↓ 組織を採取し、アルミホイルに包み、液体窒素で凍らせる
↓ (-80℃にて保存)
↓ ISOGEN 1mlを10 ml tubeに分注し、室温にしておく。
↓ 組織を液体窒素から取り出し、アルミホイルから取り出し、ISOGENを分注してあるtubeに落とす。1~2分間放置し、組織が融解するのを待ち、ホモジェナイズする(30秒~1分間)
↓ ホモジェネートを1.5 ml tubeに移し、遠心してdebrisを分離する
↓ 上清 0.8 mlを新しい1.5 ml tubeに移す
↓ chloroform 160 ulを加える
↓ vortex 20 sec.
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 別の1.5 ml tubeにISOGEN 0.5 mlを分注しておき、遠心で分離した上相(水相) 0.5 mlをこのtubeに移す
↓ 激しくvortex
↓ chloroform 100 ulを加える
↓ vortex 20 sec.
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 遠心で分離した上相(水相)を新しい1.5 ml tubeに移す
↓ IpOHを等量加え、よく混ぜる
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 上清を除く
↓ 70% エタノール1 mlを加える
↓ 14000 rpm 4℃ 10 min. 遠心
↓ 上清をしっかり除く
↓ ペレットを生乾きにする
↓ DEPC水に溶かす
↓ -80℃にて保存