血糖値の測定(山形 一行)

 

目的 : 生体の糖代謝の状態をモニターする上で欠かすことの出来ない情報として、血糖値が挙げられる。本プロトコールは、実際に糖尿病患者さんも血糖自己測定に用いているノボアシストシステムを用いてマウスの血糖値を測定する方法を示す。

<大まかな流れ>
↓マウスを捕まえ、拘束具に入れる
↓マウスの尾を注射針で切りつけ、血を出させる
↓ノボアシストペーパーに血を吸収させ、血糖値を測定する
↓止血してマウスをケージに戻す

<実際の操作>
↓マウスの準備 (例 : 摂食群と絶食群、薬剤非投与群と投与群)
↓準備
18G needle ×群数 (摂食、絶食の二群なら二本、正確を期したいならマウスの数だけ)
拘束具
ノボアシストペーパー (LIFESCAN社,スズケン[その他]に電話注文) ×匹数+
a (コード番号を揃える事)
ノボアシスト(測定器)
キムタオル
時計 (GTT のようにグルコース投与後のある時間の血糖値を正確に測りたいときに用意)
↓ノボアシストペーパーをキムタオルの上に必要量出しておく
↓18G needle のキャップをはずし、軽くキャップし直して取り出しやすくしておく
↓ノボアシストにノボアシストペーパーの容器に記載されているコード番号を入力する
↓マウスを拘束具に入れる (図1)
マウスの尾をつかみ、拘束具にマウスを入れてやる。このときマウスは激しく嫌がるが、頑張って入れよう。(特に初めて拘束具に入れたときはものすごく嫌がる)
↓マウスの尾から血を出させる (図2)
拘束具からはみ出している尾を左手で押さえ、尾の静脈(よく見ると黒いラインが分かる)を狙って引っ掻くようなイメージでカットする(浅すぎると血は出ず、深すぎると止血しても血が止まりづらい。この辺は数を重ねて慣れて下さい)。このとき、尾の半分より後ろくらいをカットする。そのあと、右手で尾を右に引っ張り、マウスを逃げられなくした状態で、左手でカットした所を終着点として上流から下流に向けて尾をしごいてやる。そうすると、血がだんだん切り口から出てくる。4~10 ul も出ていれば足りる。
↓ノボアシストペーパーに血を染み込ませる (図3)
ノボアシストペーパーのピンク色の試薬部分に血を十分につける。このとき自分から見て上側の確認窓が全体的に青くなればOK。血が足りず白い部分が残ってしまった場合は測定値が低値を示し、血が多すぎる場合は高値を示す(後者はマウスではほとんどない)。このような場合はやり直すこと。
↓ノボアシストにノボアシストペーパーを挿入する
血をつけたノボアシストペーパーは二分以内にノボアシストに挿入すること。血糖値測定時にマウスの尾の切り傷をキムタオルの上から指で押さえて止血してやる。一分も抑えていれば止血できるはず (ただし傷が治った訳ではない。同じ傷口から再度採血する場合、最低一週間はおきたい。毎日血糖値を測定するような場合、翌日は前日の傷口より上流を切りつけることになるが、前日の傷口から血が噴出することもある) 。
↓止血後のマウスをゲージに戻す
あとはこの作業をマウスの数だけ行う。慣れれば1分 / 匹 で出来るようになる(らしい。石田先生談)


 

1 こんなイメージ




2 静脈を狙いましょう




3 確認窓全体が青く染まるように