In vitro kinase assay (浅田 幸江)
kinaseの酵素活性(基質(substrate)のリン酸化修飾)をin vitroにおいて検出する方法である。この手法は主に次のような実験に用いられることが多い。
1) 酵素の活性化状態の計測
2) ある特定の酵素(基質)に対する基質(酵素)の同定
3) リン酸化修飾によるタンパク質の機能変化についての解析
それぞれの目的によりkinaseもしくは基質となるタンパク質の調製は異なり、アッセイに用いる量比も変わる。以下に記すプロトコールは筆者が頻繁に行っているMAP kinase familyに属するErk(ser/thr kinase)を用いたin vitro kinase assayの条件である。他のkinaseの時も参考にはなるがkinaseと基質の量比については条件検討を行わなければならない。
方法
注意事項;インキュベート以外全過程を氷上で行う。
基質(0.5~2 ug)
1 mM ATP 0.6 ul
[g-32P]ATP 0.5 ul
A buffer
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kinase
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total 30 ul
複数サンプルがある場合はをサンプル数分用意しておき、それぞれのエッペンに(30- ul)分注する
Kinase ulを加える
スピンダウンし軽くタッピング
30℃で15分から60分インキュベートする
10 ulの4X sample buffer (Laemmli buffer) を加え反応を停止する
3分間煮沸後、5~10 ulのサンプルを10 %アクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEにて目的の基質を分離し、ゲルのCBB染色・脱色・乾燥を行った後、オートラジオグラフィーによりリン酸化された基質の検出を行う。基質がリン酸化されている場合、その基質の分子量に相当する位置(CBB染色においても確認)にバンドが検出できる。
試薬
A buffer(最終濃度)
1M Hepes (pH 7.5) 20 mM
2M MgCl2 10 mM
0.2M DTT 1 mM
1M b-glycerophosphate 20 mM
0.5M Na3VO4 0.05 mM
条件
基質
A bufferに溶けている基質を用いる場合は基質の全溶液量が10 ulになるように調整している。もし、他のbufferに溶解されている物を使用する場合は全体の1/10量を越えないように調整している。基質量はkinaseの調整方法により差が見えやすい量が違うので0.5~2 ugの間で条件検討を行う。
kinase
組み替えタンパク質のErkを用いる場合は10~20 ngを用いる。筆者は組み替えタンパク質の場合A bufferで希釈し全溶液量を2 ulになるよう調整し反応液に加える。免疫沈降物の場合resinに結合した状態で最後のwashをA bufferで行いbufferをできる限り取り除いたものにを加える。
反応時間
30分を目安に条件検討を行う。