GST融合タンパク質精製システム(新谷 奈津美)

 

1. 原理
 グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)のカルボキシル末端と融合させた目的タンパク質を大腸菌で発現誘導し,グルタチオンアガロースビーズを利用して精製する方法である.発現ベクターとしては,pGEXシリーズ(アマシャムファルマシア社)を使用.

2. 使用機器
シェイカー(温度制御機能付),ソニケーター,冷却遠心機

3. 試薬
・ Glutathione-Sepharose 4B
・ LB (+Amp)
・ IPTG
・ PBS
・ GST Buffer (20 mM Tris-HCl (pH 8.0), 1 mM EDTA, 1% TritonX, 1 mM PMSF, 5 mM DTT (wash; 1 mM), 1 mg/ml Aprotinin, 1mg/ml pepstatin A, 1mg/ml Luepeptin)
・ High Salt Elution Buffer (20 mM Reduced Glutsthione, 100 mM Tris-HCl (pH 8.0), 120 mM NaCl)

4. プロトコール
Preculture
↓ GST融合タンパク質発現もつ大腸菌を2 ml~3 mlのLB (+Amp)で培養.

Main culture
↓ precultureした培養液500 ml を10 ml のLB (+Amp)に加え30℃で培養.

IPTG induction
↓ OD600 = 0.6~0.8になったらIPTGを終濃度1 mM(0.1~1 mMの範囲)になるように加え,30℃で2~5 hr培養する.(目的タンパクにより最適な条件を要検討)

Collect GST-fusion protein
↓ 3500 rpm, RT, 10 min.遠心し集菌する.
↓ 菌体を 5 ml のice-cold PBSで懸濁後, 3500 rpm, RT, 10 min.遠心し集菌する (wash).
↓ 菌体を 1 ml のice-cold GST Bufferで懸濁し,1.5 ml チューブへ移す.
↓ 氷上にてGST Bufferに懸濁された菌体が半透明になるまでソニケーターにより破砕する.
↓ 15000 rpm, 10 min, 4℃で遠心し,上清を新しい1.5 mlチューブに移す. (a), (b)
↓ 平衡化したGlutathione-Sepharose 4B (GST Bufferで2回wash)を100ul加え,4℃で2 hr~O/N回転させる.
↓ 6000 rpm, 30 sec~1 min, 4℃で遠心し,上清を除く. (c)
↓ Glutathione-Sepharose 4B の洗浄:
  1 mlのGST Buffer(1 mM DTT)を加え,軽く攪拌して6000 rpm, 30 sec~1 min, 4℃で遠心して上清を除く操作を5回行う.
↓ 100ulのD.W.(A.C.済 milliQ水)を加え,4℃で保存する(長期保存の際はアジ化ナトリウム(final 0.5%)を加える) (d)
 精製されたGST融合タンパク質の確認:最終産物(d)と共にソニケーション後可溶性画分(a)・不溶性画分(b)・吸着後のGlutathione-Sepharose上清(c)を各10ulずつ SDS-PAGEにより泳動し確認する.

Elution :必要な場合は以下の方法に従いGST融合タンパク質の溶出を行う.
↓ Glutathione-Sepharoseの上清を遠心し除去する.
↓ レジンと等量(100ul)のHigh Salt Elution Bufferを加えて4℃で10 min回転する.
↓ 6000 rpm, 4℃, 1 min 遠心し上清を新しいチューブに移す.(5回繰り返し回収)
↓ GST融合タンパク質の溶出量をSDS-PAGEにより確認する.
(還元型グルタチオンの除去)
↓ 透析チューブにGST融合タンパク質の溶出液を入れてPBS(final 1 mM DTTを含む)溶液により4℃で透析を行う.
↓ 透析終了後,終濃度10%になるようにglycerolを加え,液体窒素により凍結させ-80℃で保存する.

5. 注意点
※ I GST融合タンパク質を発現するプラスミドをtransformする大腸菌としてはプロテアーゼ活性の低いBL-21などを用いる.
※ IPTGを入れすぎるとGST融合タンパク質の発現スピードが速すぎて,正しいコンフォメーションを形成するために必要な時間が不十分となる.また,誘導後の培養温度が37℃だとタンパク合成や細胞の分裂スピードが速すぎて同様の問題が生じる可能性がある.よって,IPTGは少な目で,培養温度は30℃で融合タンパク質の誘導を行う.
※ 融合タンパク質がGlutathione-Sepharoseに吸着しない場合はDTT濃度を下げることで改善される場合が有る