最終更新日  2016.06.11.

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. アルギニンメチル化と生体機能

Last updated on 160611 by M. H., JD. K., and J. I.

 生体内での分子のメチル化は、核酸やタンパク質、ホルモンなどの生理活性物質など。様々な場面で認められる普遍的な反応です。タンパク質が翻訳後にメチル化されることは、今から50年以上前の1960年代に明らかにされ、1980年代にはアルギニン残基がメチル化の標的であることが判明しました。アルギニン残基のメチル化は様々な生命現象に広く関わっていると推察され、細胞を用いた研究を中心に行われて来ましたが、生体内での機能はほとんど明らかとなっていません。

【中枢神経系の発生や機能維持に重要な仕組みの一端を解明】

ー オリゴデンドロサイトの分化・成熟へのタンパク質メチル化の効果 ー


 中枢神経系の重要な構成要素であるグリア細胞の一つオリゴデンドロサイトは、神経細胞のメンテナンスや神経伝達の跳躍電導を可能とするミエリン形成に重要な役割を果たしています。オリゴデンドロサイトは、神経細胞と同様に神経幹細胞から分化しますが、その仕組みは明らかにされていません。近年、オリゴデンドロサイトの分化に、タンパク質の翻訳後修飾が重要である可能性が示されつつありますが、その制御因子を含め不明な点が多く残されています。 タンパク質のアルギニンメチル化の主要な酵素であるPRMT1は、生体内に広く存在し、胎生期マウスの中枢神経系での強い発現が認められます。しかし、全身性のPRMT1遺伝子欠損マウスは胎生早期に致死となるため、現在に至るまで生体内におけるPRMT1の機能は、中枢神経系細胞の発生や分化への関与も含めて未解明でした。

 本研究では、中枢神経系におけるPRMT1の機能を調べるため、中枢神経系特異的にPRMT1遺伝子を欠損するマウス(PRMT1-CKO)を作製しました。PRMT1-CKOマウスは、野生型マウスと同様に出生するものの、その後の成長遅延に加え、震えや運動失調を呈し(図1)、生後2週間ほどで死亡することが明らかとなりました。また、PRMT1-CKO産仔の脳組織の解析から、本来ならば神経細胞に巻きついているミエリンがほぼ完全に消失していることが判明しました(図2)。さらに、PRMT1-CKO産仔の脳では、神経細胞や他のグリア細胞であるアストロサイトの減少は認められなかったものの、成熟したオリゴデンドロサイトや、その分化段階にある細胞の減少が認められました。

 以上の結果から、アルギニンメチル化酵素PRMT1はオリゴデンドロサイトの分化・成熟に必須であり、中枢神経系の発生や機能維持に重要であることが判りました(図3)。

<論文情報>

Hashimoto M, Murata M, Ishida J, Kanou A, Kasuya Y, and Fukamizu A.

Severe hypomyelination and developmental defects are caused in mice lacking protein arginine methyltransferase 1 (PRMT1) in the central nervous system. J. Biol. Chem. 291, 2237-2245 (2016)

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【小脳でのリン脂質代謝酵素による運動機能の仕組み】


 神経細胞は、長い1本の軸索と複雑に分枝した多数の樹状突起を持っており、軸索は情報の出力を、樹状突起は情報の受け手として機能します。これらの突起の発達は、細胞膜でリン脂質のホスファチジルコリンが「加水分解」という反応によって細胞のかたちを変えることが重要です。現在までに軸索側はよく研究されてきましたが、樹状突起の発生と分岐に関する詳しい制御メカニズムは不明な点が多く残されています。本研究では、脳神経細胞・細胞膜結合型アルギニンメチル化酵素PRMT8が樹状突起に特異的に発現を示すことから、神経細胞におけるPRMT8の機能を調べるため、遺伝子欠損マウス(PRMT8 KO)を作製し、解析を行いました。その結果、小脳神経細胞でPRMT8 は樹状突起の分岐に、また運動機能に深く関与していることが明らかとなりました。


 今まで小脳神経細胞の樹状突起の発達抑制は、個体の運動機能の低下を示すのが一般的な理解です。神経伝達物質であるアセチルコリンは、ホスファチジルコリンの加水分解産物であるコリンから合成され、その量の増加と減少は運動量の低下と亢進を引き起こす原因になります。一方、PRMT8 KOマウスは野生型マウスと比べて、コリンとアセチルコリンが減少し、ホスファチジルコリンの量が多く増加していました。我々は、PRMT8の分子内にホスファチジルコリンの加水分解酵素の活性中心が保存されていることを見出し、新規のリン脂質加水分解酵素としての活性やそれが神経突起の分岐を制御していることを発見しました。

 以上の結果から、PRMT8は、アルギニンメチル化を触媒する酵素活性に加え、細胞膜のリン脂質代謝にも関与することで、神経伝達物質の産生や樹状突起の発達に重要な役割を果たし、脳機能を制御していることを示唆しています。

<論文情報>

1. Toma-Fukai S, Kim JD, Park KE, Kuwabara N, Shimizu N, Krayukuhina E, Uchiyama S, Fukamizu A, and Shimizu T.

Novel helical assembly in arginine methyltransferase 8.

J. Mol. Biol. 428, 1197-1208 (2016)


2. Kim JD, Park KE, Ishida J, Kako K, Hamada J, Kani S, Takeuchi M, Namiki K, Fukui H, Fukuhara S, Hibi M, Kobayashi M, Kanaho Y, Kasuya Y, Mochizuki N, and Fukamizu A.

PRMT8 as a phospholipase regulates Purkinje cell dendritic arborization and motor coordination.

Science Adv. 1, e1500615 (2015)


3. Kim JD, Kako K, Kakiuchi M, Park GG, and Fukamizu A.

EWS is a substrate of type I protein arginine methyltransferase, PRMT8.

Int. J. Mol. Med. 22, 309-315 (2008)

 PRMT(Protein arginine methyltransferase)は、アルギニンメチル化を触媒する酵素です(上図)。PRMTは、メチル基転移活性に重要な分子構造の相同性から、ファミリーを形成しています。中でも、PRMT1は細胞内のアルギニンメチル化の85%を担うドミナントなPRMTです。また、PRMT8は唯一細胞膜に存在し、発現組織が脳に限局していることで知られます。


 ヒトやマウスにて、 PRMT1 が様々な組織に存在することが知られていますが、全身でPRMT1を欠損したマウスは、発生過程の早期に致死となることから、生体内における機能は不明でした。私たちの研究室では、in vivo でのPRMT1 、また、PRMT8の役割を紐解くため、様々な組織特異的なPRMT遺伝子の欠損マウスを作製、解析しています。


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