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最終更新日  2013.07.06

 

1.博士号へのモチベーションと深水研を選んだ理由

    私は学生時代に、大学院への進学をある意味失敗しました。そのハンディーを克服し、それでも研究者として生きていきたいという思いを消し去ることが出来ませんでした。社会人になって10年以上経ち、業務が研究開発職に異動となったのをきっかけに、直属の上司に博士号取得の希望を伝えました。医学部・金保教授の強力な推薦もあり、深水教授のもと博士号を目指すことを決心しました。筑波大学の中でも、特に異彩を放つTARAセンターでの深水研究室に、非常に新鮮な魅力を感じたことは今でも鮮明によみがえります。実験科学でラボを運営するそのスタイルにも尊敬の念を強く感じます。


2.社会人博士課程の実情

    企業に所属しながら博士号を目指すことは、その所属企業の体質に大きく左右されると思います。島津製作所では社員の博士号取得に対して、現在の業務遂行が大前提で、その上で個人のモチベーションとのバランスがとれるなら、進学を許可するというスタイルです。しかし実際には、会社の仕事だけでも相当な時間がかかります。社会人大学院を選択することは、すなわち深夜と休日の時間をすべて使ってでも博士号を目指す強い精神力と、会社に対する説得力が必要となります。課程博士の学生より圧倒的に少ない研究時間に対する日々の焦燥感は、二度と経験したくない思い出のひとつです。また社会人博士課程の場合、大学院に所属していても実際には、ラボの思想や教育を受けるというもっとも本質的なことを得にくいと感じます。そのため研究活動の一環として、積極的な情報交換や、修了後の交流も重要です。大学研究者と企業研究者との最大の違いは、「知的好奇心の実現」と「新規技術の応用分野選択」であると考えています。大学では自分の興味にすべてを投入できますが、企業研究者はその選択肢が広いのが特徴かもしれません。どちらが良いかは同じ土俵で語れませんが、少なくとも両方の立場で必須であるのは、確かな目利き力です。


3.研究室希望者へのメッセージ

    学位を取得して得られるものは、具体的な研究開発への大きなモチベーションだと思います。漠然とした研究への好奇心から、より具体的で夢のある研究へ向かって、その第一歩を踏み出せるきっかけになります。深水研はビッグラボにも関わらず、教員と学生の距離が近いフラットな研究室です。また、ゲノム科学をベースに、新しいサイエンスを融合していく発展的な指向、複合領域研究に直接触れることのできる、日本でも数少ないラボの一つです。さらに、深水研の大きな特徴は、大学として当たり前のようで、実は極めて難しい課題であります、研究と教育の両輪に真正面から取り組む姿勢です。独創的な研究とそれを支える思想や方法論を学び、自分の研究に生かしていくには、つくば市という土地柄もあり、深水研は非常に恵まれたラボ環境です。そして私自身も深水研の卒業生として、質量分析を中心としたバックアップ、共同研究を今後とも継続したいと思っております。大学や企業に関わらず、今後の進路の中で研究者として活躍されたい方々は、ぜひ、深水教授および深水研のメンバーと一緒に学ばれることをおすすめします。

株式会社島津製作所 ライフサイエンス研究所

(島津製作所・国立がん研究センター 産学連携研究室  プロジェクトリーダー)

嶋田 崇史    (2011年3月 筑波大学・深水研 博士後期課程修了